Magnumの解析における反射(Reflection)

Magnumの3次元磁場解析の計算時間は、対称面を使用することで短縮することができます。境界に対称条件を適用することで、計算領域の体積を半分、4分の1、さらには8分の1まで小さくすることが可能になります。高速化は次の2つの効果からもたらされます: 1)節点数が減る、2)メッシュが小さくなり収束が速くなる。

OmniTrakで荷電粒子ビームシミュレーションに磁場の計算結果を使用する場合、対称面が問題になることがあります。ビーム伝搬領域の一部だけをカバーした計算結果は、2つの理由で精度を低下させます:

・粒子が平面に到達したときに反射条件を適用する必要があり、それに伴って内挿誤差が生じます。
・磁場の二次補間用の点の集まりが歪む。
このため、MagViewに反射機能を導入し、全ビーム領域をカバーする磁場の解を生成するようにしました。この機能はMagnumのマニュアルに記載されていますが、プログラムには非常に多くの機能があるため、ユーザーはしばしば見逃してしまいます。この記事では、この機能を実証し、反射パラメータの選択を説明する例について説明します。

図1. 対称境界を示す反射磁場解 cmagr.gou

図1. 対称境界を示す反射磁場解 cmagr.gou

 

図1はその形状を示しており、上半分はMagnumに付属するCMAGの例題です。鉄心はC字型になっています。右側のコイル(水色とピックの長方形)は、左側のエアギャップに双極磁場を作ります。元のCMAG解は、平面y = 0.0cmで固定されたReduced Potentialの条件で、y≥0.0cmの領域をカバーしています:

φ = 0.0 A-m2 [1]

印加磁場Hs(コイルによって生成される)が平面に垂直である場合、式1は磁束密度Bも平面に垂直であることを意味します。これは、双極子磁石にとって望ましい対称条件です。印加磁場に関する条件は、平面y = 0.0cmの上下に駆動コイル一式を含めることで確保されます。

最初のステップは、MetaMeshを実行し、次にMagnumを実行して解析結果ファイルCMAG.GOUを作成することです。yに沿って正の領域と負の領域の両方をカバーする解析結果ファイルを作成するために、MagViewで元の解析結果をロードし、File operations/Save reflected solutionをクリックします。出力ファイル名をCMAGR.GOUとします。図2のダイアログが表示されます:

反射面はYDn (y = 0.0 cm)です。
φとψの値の反転は、磁性体によって生成される磁場(勾配に比例)が境界に垂直であることを意味します。
印加される磁場成分Hyは境界の両側で同じ値になるはずですが、対称面に平行な成分(HxとHz)は逆になります。

 

図2. 反射特性ダイアログ

図2. 反射特性ダイアログ

 

OK をクリックすると新しい解析結果ファイルが保存されます。図1は磁束密度(B)の大きさと方向を示しています。図 3 は、x = -3.0 cm から 3.0 cm までの走査線に沿った By(x,0,0)のプロットです。線は完全解(CMAGR.GOU)を用いて補間した値、円はCMAG.GOUから計算した値です。わずかな違いがあり、他のテストでも完全解からの値がより正確であることが確認されています。数学的なちょっとしたトリック(磁場の値を反射面の反対側の対称な位置にコピーすること)で、どうして解の精度が上がるのでしょうか?実は、この手順は解の精度に影響するのではなく、補間の精度に影響するのです。MagViewの方法では、テストポイントの近傍のノード値を収集します。収集ボリュームが点の上下に広がっている場合、磁場成分の対称条件は厳密に強制されます。

図3. By(x,0,0)のスキャン。線:完全解。円:半分の解。

図3. By(x,0,0)のスキャン。線:完全解。円:半分の解。