RFIDデバイスを扱っている顧客から、駆動コイルのアレイに囲まれた検出コイル内の磁束を求める方法について質問を受けました。
ドライブコイルは動き回ったり回転したりします。鉄芯の構造はありません。Magnumの自由空間モードを使用すれば、計算は高速で簡単です。
この記事では、必要なテクニックをレビューします。
図1はテスト形状を示しています。駆動コイルの断面は長方形(Δx = 6.0 cm、Δy = 3.5 cm)です。便宜上、平面z = 0.00cmに配置しました。中心が(x = 5.0 cm, y = 5.0 cm, z = 5.0)の半径5.0 cmの円形の駆動コイルを1つ入れています。パラメータの変化を説明するために、x軸を中心に45°回転させました。以下がMagWinderで作成したコイル定義ファイルです:
GLOBAL
DUnit: 1.0000E+02
END
COIL
Name: RotatingCoil
Current: 1.0000E+00
Ds: 2.5000E-01
Shift: 5.0000E+00 5.0000E+00 5.0000E+00
Part
Name: RotatingCoil
Type: Circle
Fab: 5.0000E+00
* Change ThetaX to rotate the coil
Rotate: 45.000 0.000 0.000 XYZ
End
END
ENDFILE
Magwinderでパーツを編集するか、テキストエディターで値45.000を変更するだけで、コイルを回転させることができます。コイル定義ファイルはMagwinderで処理され、診断コイルの位置での印加磁場を計算するための126個の短い電流要素のリストを作成します。
Magnumの自由空間計算では、計算メッシュは印加磁場を計算するためのノード点のセットを定義します。他の点の磁場は補間によって決定されます。すべての要素はμr = 1.0です。通常、メッシュは対象体積を囲む単一領域(region)のボックスです。今回は、磁束の自動計算を可能にするために、特別な領域分割を用いました。図2は、検出コイルを囲む範囲(-5.0≦x≦5.0、-5.0≦y≦5.0、-1.0≦z≦1.0)に広がるメッシュを示しています。zの上下の空間は領域1と領域2に分かれています。領域(region) 3はzの下側の空間を占め、検出コイルの断面寸法(Δx=6.0cm、Δy=3.5cm)を持ちます。重要な点は、領域3と領域1の間の面が検出器コイルに囲まれた領域に相当することです。
Magnumの計算にかかる時間はわずか数秒です。その後、MagViewを使用して解を解析します。磁束の積分を計算するには、Analysis/Surface integralをクリックして図3のダイアログを表示します。ここでは領域3から領域1へのフラックスを求めたい(すなわち、正の値はBz > 0.0に対応する)ので、領域3が内部、領域1が外部となるようにダイアログを設定します。プログラムは定義された表面上の積分を求め、結果をデータファイル(下図)に記録します:
———- Surface Integrals ———-
Region status
RegNo Status Name
===================================
1 External AIRUPPER
3 Internal COILOUTLINE
Surface area of region set (m2): 2.100000E-03
MagFlux: -2.537678E-09
磁束は平均磁束密度<Bz> = 1.208E-6テスラを意味します。z=0.0cm平面におけるBzのプロットを見ると、これが妥当な値であることがわかります。